東南アジア向けの越境EC物流で最初に決めるのは、「日本のどこから、どの配送方法で送り、梱包と出荷を誰が担当するか」の3点です。配送方法の名前を比べる前に、この3点を決めておくと、見積もりの比較がしやすくなります。
この記事では、日本から東南アジアへ売るときの物流の選択肢、選ぶときの判断基準、見落としやすい費用、発送代行に任せる範囲の決め方を整理します。送料や所要日数は、国・重さ・時期・契約によって変わるため、金額は載せず、確認の仕方を中心に説明します。
東南アジア向け物流の4つの選択肢
日本から東南アジアの消費者に届ける方法は、おおむね次の4つに分けられます(呼び方は事業者によって異なります)。
| 選択肢 | 仕組み | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| モールの越境物流を使う | 日本国内の指定拠点に送ると、国際輸送から現地配送までモール側が担当する | 初めて出店する。物流の手配を手間なく始めたい | 使える条件・対象国・料金はモールと時期で変わる。使える仕組みを出店前に確認する |
| 国際郵便(EMS・国際小包など) | 日本郵便で1件ずつ発送する | 出荷が少ない。小さくて軽い商品 | 国や時期によって受付条件や所要日数が変わる。追跡や補償の範囲を確認する |
| 国際宅配便・国際輸送会社 | 国際輸送会社と契約して発送する | 出荷量が増えてきた。日数や追跡を重視する | 契約条件や、サイズ・重量による料金の変動を確認する |
| 現地倉庫に一括で納品する | まとめて現地へ送り、国内配送として届ける | 売れ行きが読めて、納期を短くしたい | 在庫を現地に置くため、売れ残りの管理と、輸入時の手続きが増える |
最初は「モールの越境物流」か「国際郵便」で小さく始め、出荷が増えた段階で他の方法を比べる、という進め方が一つの目安です。どの方法が安いかは、商品のサイズ・重さ・売る国で決まるので、自社の商品で見積もりを取って比べてください。
選ぶときの5つの判断基準
- 商品のサイズと重さ:小さく軽い商品は郵便系、かさばる商品は宅配便系や一括輸送が合う場合が多い
- 売る国:国によって、受付できる配送方法・通関の仕組み・配達の事情が違う
- 許容できる日数:届くまでの日数が長いと、キャンセルや低評価につながりやすい
- 追跡と補償:紛失・破損のときに、誰がどこまで対応するか
- 返品の扱い:返品された荷物を日本に戻すのか、現地で処分するのか
とくに4と5は、価格だけを見ていると抜けやすい項目です。モールによっては、配送の遅れや追跡の有無が店舗の評価に影響することがあります。出店前に、各モールのセラー向けの規約を確認してください。
見落としやすい費用
送料だけで比べると、総額を読み違えることがあります。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 国内の作業費 | 入荷、保管、ピッキング、検品、梱包。国際配送に耐える梱包にすると、資材も増える |
| 国際送料 | 重さ・サイズ・国で変わる。容積重量で計算される場合がある |
| 輸入時の税金・関税 | 国ごとに、少額の輸入品の免税の基準や、消費税にあたる税の扱いが違う |
| モールの手数料 | 販売手数料、決済手数料、物流サービスの利用料 |
| 返品・再送の費用 | 返送の送料、現地での再配達、廃棄 |
| 為替 | 売上の入金時の換算 |
輸入時の税金は、国によって制度が違い、変更されることもあります。たとえばシンガポールの少額輸入品の免税は、輸送方法や品目で扱いが分かれます(JETROのQ&Aは過去の内容を含むため、現行の基準は各国の税関の公式情報で確認してください)。価格を決める前に、売る国ごとの最新の基準を確かめることが大切です。
仮の数字で考える(例)
次は、費用の見方を示すための仮の数字です。実際の金額ではありません。
| 項目 | 仮の金額 |
|---|---|
| 販売価格 | 3,000円 |
| モールの手数料 | 600円 |
| 国内の梱包・出荷作業 | 400円 |
| 国際送料 | 1,200円 |
| 商品の仕入れ原価 | 500円 |
| 手元に残る金額 | 300円 |
この仮の数字では、1個300円しか残りません。返品が数件出たり、送料が少し上がったりするだけで、利益は簡単に消えます。物流の方法を選ぶことは、そのまま価格と利益を決めることです。
よくある失敗
- 送料の安さだけで配送方法を選ぶ:日数が長く、キャンセルや評価の低下につながる
- 梱包を国内と同じにする:国際輸送では、荷扱いの回数が増え、破損や潰れが出やすい
- 売る国ごとの輸入ルールを確認しない:通関で止まり、荷物が届かない
- 販売数量が読めないうちに現地倉庫へ送る:売れ残りの在庫と、その管理費用が残る
- 国内ECと海外の在庫を別々に管理する:どちらかで欠品や売り越しが起きる
5については、国内ECと越境ECの在庫を一元管理するにはで詳しく整理しています。
発送代行に任せる範囲の決め方
東南アジア向けの物流では、次の作業を、誰が担当するかを決めます。
| 作業 | 自社で行う場合 | 発送代行に任せる場合 |
|---|---|---|
| 入荷・検品・保管 | 自社の保管場所と人手が必要 | 倉庫で預かり、在庫を管理してもらう |
| ピッキング・梱包 | 注文のたびに人手がかかる | 手順を決めて、倉庫で行う |
| ラベル貼り・同梱物 | 国ごとの表示や書類を自分で調べる | 作業手順として組み込む |
| 国際配送の手配 | 配送方法ごとに契約・伝票の準備 | 商品に合った方法を提案してもらう |
| 通関 | 書類の準備と手続き | 書類の準備と、通関業者との連携 |
月の出荷が少ないうちは自社で行い、出荷が増えて作業に時間を取られるようになったら任せる、という判断が現実的です。任せるかどうかを考えるタイミングは、EC物流を外注するタイミングも参考にしてください。
ハシゴロジで対応できる範囲
ハシゴロジの海外EC運用代行は、韓国・東南アジア・台湾の海外モール(Amazon・Coupang・Temu・Shopee・Lazadaなど)での出店と運用を、必要なところから選んで依頼できます。物流は、自社の3PL(物流代行)で直接お引き受けします。
- 国内倉庫での保管・梱包:商品をお預かりし、検品・ラベル貼りから、国際配送に耐える梱包まで対応します
- モール指定の拠点への納品:モールが指定する国内拠点への納品に対応します。売れ行きに合わせた現地倉庫への一括納品も設計します
- 通関は提携先と連携:書類の準備と出荷の設計は当社が行い、通関手続きは提携する通関業者・国際配送会社が担当します
- 販売と物流の窓口がひとつ:送料・関税・手数料まで含めて、利益が残る価格と出荷の形を設計します
- 国内ECと同じ在庫で扱える:国内ECの出荷と海外モールへの納品を、同じ倉庫・同じ在庫で扱います
出荷作業料は1出荷550円(税抜)からで、1個から受け付けています。料金は物量・商材・作業内容で変わるため、商材と月間の出荷件数をうかがったうえで、概算をお出しします。越境の費用の見方は、越境EC運用代行の費用は何で決まる?でも整理しています。
よくある質問
東南アジア向けは、どの配送方法から始めるのがよいですか。
出荷が少ないうちは、モールが用意する越境物流の仕組みか、国際郵便で小さく始める方法があります。商品のサイズ・重さと売る国で最適な方法が変わるため、自社の商品で見積もりを取って比べてください。
国によって物流の条件は違いますか。
違います。受付できる配送方法、輸入時の少額免税の基準、配達の事情は国ごとに異なり、変更されることもあります。出店する国が決まったら、その国の最新の条件を確認してください。
国内ECの在庫と海外向けの在庫を同じ倉庫で持てますか。
できます。ハシゴロジでは、国内ECの出荷と海外モールへの納品を、同じ倉庫・同じ在庫で扱えます。
物流だけの依頼もできますか。
できます。市場リサーチだけ、出店支援だけ、物流だけといった部分的なご依頼も承ります。
まとめ
- 東南アジア向け物流は、「どこから・どの方法で・誰が梱包と出荷を担当するか」の3点を先に決める
- 配送方法は、商品のサイズ・重さ・売る国・日数・追跡と補償で選ぶ。送料だけで決めない
- 送料に加えて、梱包費・輸入時の税金・返品の費用まで含めた総額で、利益が残るかを確認する
物流の組み方に迷うときは、商材と目標をうかがい、向いている進め方をご提案しますので、ご相談はこちらからどうぞ。


