結論から言うと、発送代行に切り替えるかどうかは「月に何件出荷しているか」だけでは決まりません。自社出荷にかかっている1件あたりの総コストと、発送作業のせいで本業に使えていない時間の2つを数字にすると、判断できます。
月100件でも切り替えたほうがよい会社もあれば、月1,000件でも自社出荷のほうが合理的な会社もあります。この記事では、自社出荷のコストを漏れなく計算する方法と、切り替えを考えるべき5つのサインをまとめます。
自社出荷の「見えないコスト」は5つある
自社出荷の費用というと、送料と段ボール代だけを思い浮かべがちです。実際には、次の5つを足したものが1件あたりのコストです。
| コスト | 中身 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 作業人件費 | ピッキング、検品、梱包、送り状発行、集荷対応 | 社長や企画担当が手伝っている時間も含める |
| 梱包資材費 | 段ボール、緩衝材、テープ、納品書、チラシ | まとめ買いの保管場所も費用になる |
| 送料 | 運送会社との契約運賃 | 出荷件数が少ないと個人向けに近い運賃になりやすい |
| スペース費 | 在庫置き場と作業スペースの家賃 | 事務所の一角を使っていても、家賃の按分で考える |
| ミス・問い合わせ対応 | 誤出荷の再送、返品対応、配送状況の問い合わせ | 再送の送料と、謝罪や確認にかかる時間 |
特に見落とされやすいのが「作業人件費」です。発送作業をアルバイトではなく、経営者や商品企画の担当者が行っている場合、その時間は本来、売上をつくる仕事に使えたはずの時間です。
1件あたりのコストを計算してみる
次の式で、自社出荷1件あたりの総コストを出します。
試算例(数字は計算方法を示すための仮の値です。自社の数字に置き換えてください)
| 項目 | 前提 | 月額 |
|---|---|---|
| 作業人件費 | 1件あたり8分 × 月400件 = 約53時間、時給換算2,000円 | 約106,000円 |
| 梱包資材費 | 1件あたり80円 × 400件 | 32,000円 |
| 送料 | 1件あたり700円 × 400件 | 280,000円 |
| スペース費 | 家賃のうち在庫・作業スペース分 | 40,000円 |
| ミス対応費 | 誤出荷の再送と対応時間 | 10,000円 |
| 合計 | 約468,000円(1件あたり約1,170円) |
この例では、送料だけを見ると1件700円ですが、すべてを足すと1件あたり約1,170円かかっています。発送代行の見積もりと比べるときは、この「総コスト」と比べることが大切です。
ハシゴロジの3PL(物流代行)の場合、出荷作業料は1個550円〜(入荷・ピッキング・検品・梱包・配送まで含む、60サイズの目安・税抜)です。これに保管料と、必要に応じて流通加工費が加わります。比べる際は、両者の範囲がそろっているかを必ず確認してください。
切り替えを考えるべき5つのサイン
計算に加えて、次のようなことが起きていたら、切り替えを検討するタイミングです。
- 経営者や企画担当が、週に数時間以上の発送作業をしている:売上をつくる時間が削られています。
- セールや新商品の発売時に、出荷が数日遅れる:物量の波に人手が追いついていません。
- 在庫が事務所や自宅に収まらなくなってきた:スペース費と探す時間が増えています。
- 誤出荷や入れ忘れが月に何度か起きている:作業の標準化ができていないサインです。
- 繁忙期のたびにアルバイトを採用・教育している:採用と教育の手間も、1件あたりのコストに乗っています。
出荷件数の規模ごとの考え方
出荷件数だけでは決まらないとはいえ、規模ごとに起きやすいことには傾向があります。自社がどこに当てはまるかの目安にしてください。
| 月間出荷件数 | よくある状況 | 考え方 |
|---|---|---|
| 〜100件 | 経営者や担当者が、ほかの業務の合間に発送している | 作業時間はまだ小さいが、セールや新商品の発売時に本業が止まるなら委託を検討する |
| 100〜500件 | 毎日まとまった時間を発送に取られ、在庫置き場も手狭になってくる | 総コストを計算すると、委託したほうが安いケースが増える。最も判断が分かれやすい規模 |
| 500〜1,000件 | 専任のスタッフやアルバイトが必要になり、採用と教育の負担が出てくる | 人件費とスペース費が大きくなり、委託の効果が出やすい |
| 1,000件〜 | 自社で倉庫を借りるか、委託するかの判断になる | 自社倉庫を持つ場合は、倉庫管理システムや作業設計まで自前で用意する必要がある |
特に「100〜500件」の規模は、作業時間が少しずつ増えていくため、切り替えのタイミングを逃しやすい段階です。半年に一度は、1件あたりの総コストを計算し直すことをおすすめします。
委託すると、何が自社に残るのか
発送代行に切り替えても、物流に関わる仕事がすべてなくなるわけではありません。委託先に任せる仕事と、自社に残る仕事を分けておくと、切り替えたあとの役割分担で迷いません。
| 委託先に任せる仕事 | 自社に残る仕事 |
|---|---|
| 入荷した商品の検品と棚入れ | 何をいつどれだけ仕入れるかの判断(発注) |
| 注文ごとのピッキング、梱包、送り状の発行 | 受注の確認と、出荷指示の連携(システム連携で自動化できる) |
| 運送会社への引き渡し | お客様からの問い合わせ対応 |
| 在庫数の管理と棚卸し | 在庫データを見た販売計画の調整 |
| ラベル貼りやセット組みなどの流通加工 | 新商品の梱包仕様やギフト対応のルール決め |
自社に残るのは、売上に直結する判断の仕事です。発送代行の価値は、作業を減らすことそのものより、この判断の仕事に時間を使えるようになることにあります。
切り替えで起きやすい失敗と防ぎ方
発送代行への切り替えでつまずくのは、たいてい作業そのものではなく、情報の受け渡しです。よくある失敗と、その防ぎ方をまとめます。
- 商品の情報がそろっていない:商品コード、JANコード、サイズ、重さが登録されていないと、入荷や梱包資材の選定で手間取ります。切り替え前に商品マスタを整えておきます。
- 梱包の仕様が伝わっていない:緩衝材の入れ方、同梱物、ギフト対応のルールが口頭だけだと、品質がばらつきます。写真付きの手順書にして渡すと確実です。
- 在庫の数が合わない:自社に残っていた在庫と、委託先に送った在庫の数がずれると、欠品や二重販売が起きます。移管の日を決めて、その日の在庫を数え直してから切り替えます。
- 繁忙期の直前に切り替える:セールの直前に切り替えると、慣れないうちに物量が押し寄せます。物量が落ち着いている時期を選びます。
- 返品の扱いを決めていない:返品された商品を再販売するのか、検品して廃棄するのか、誰が判断するのかを決めておきます。
発送代行に切り替えないほうがよいケース
一方で、次のような場合は、自社出荷を続けたほうがよいこともあります。
- 1点ずつ手書きのメッセージを添えるなど、作業そのものがブランドの価値になっている
- 受注生産で、出荷のたびに商品の仕様が変わる
- 出荷件数が月に数十件以下で、作業時間がほとんどかかっていない
ただし、手書きのメッセージやギフト包装も、作業手順を決めれば委託できる場合があります。「うちのやり方は外に出せない」と決める前に、一度相談してみる価値はあります。
切り替えの進め方
発送代行への切り替えは、次の順番で進めると失敗しにくくなります。
- 自社出荷の総コストを計算する(この記事の表を使ってください)
- 委託したい作業の範囲を決める:保管・出荷だけか、ラベル貼りやセット組みも含めるか
- 見積もりを取って、範囲をそろえて比べる:見積もりの見方は3PLの見積もりの見方で解説しています
- システム連携を確認する:いま使っているカートや受注管理システムとそのままつながるか
- 少量で試してから全量を移す:一部の商品から始めると、運用の詰めが楽になります
よくある質問
月の出荷件数が少なくても、発送代行に頼めますか。
頼めます。ハシゴロジの3PLは1個から受け付けています。ほかの会社に依頼する場合も、最低出荷件数や最低保証料の条件があるかを最初に確認してください。
発送代行に切り替えると、送料は安くなりますか。
多くの場合、発送代行会社がまとめて契約している運賃が適用されるため、自社で契約するより下がる傾向があります。ただし商品のサイズや配送先によって変わるので、実際の出荷データを渡して見積もりを取るのが確実です。
切り替えにはどのくらいの期間がかかりますか。
商品数や連携するシステムによりますが、ヒアリングから稼働まで数週間から1か月程度を見ておくと安心です。セールなどの繁忙期の直前は避け、余裕を持って準備することをおすすめします。
委託したあとも、在庫数や出荷状況は確認できますか。
多くの発送代行会社は、在庫数や出荷状況を確認できる管理画面やデータ連携を用意しています。ハシゴロジの3PLでは、自社開発の倉庫管理システムで、在庫と出荷の状況を必要な形で確認できます。委託先を選ぶ際は、どの情報を、どのタイミングで確認できるかを事前に確かめておきましょう。
返品や交換の対応も任せられますか。
任せられる場合が多いです。返品された商品の検品、再入庫、交換品の出荷などを委託できます。どの状態なら再販売するかといった判断基準は、事前に委託先と決めておくとスムーズです。
まとめ
- 発送代行に切り替えるかは、出荷件数ではなく「1件あたりの総コスト」で判断する
- 総コストは、人件費・資材・送料・スペース・ミス対応の5つを足して出す
- 経営者が発送作業をしている、繁忙期に出荷が遅れる、といったサインがあれば検討のタイミング
自社の数字で比べてみたい場合は、商品と月間出荷件数を教えていただければ、3PL(物流代行)の概算をお出しします。見積依頼はこちらからどうぞ。


