東南アジアでECを始めるとき、最初に候補になるのがShopee(ショッピー)とLazada(ラザダ)です。結論から言うと、最初の1モールは「売りたい国」と「物流をどこまで任せたいか」で選ぶのが失敗の少ない方法です。
どちらも東南アジアの大手モールで、同じ国で競合しています。この記事では、2つのモールの違いと、最初の1モールを選ぶための判断基準、出店前に決めておくべきことを整理します。
ShopeeとLazadaの違い
| 比べる点 | Shopee | Lazada |
|---|---|---|
| 主な国・地域 | シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、台湾など | シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、インドネシア |
| 日本からの物流 | 国内の指定拠点に送ると、国際輸送から現地配送までモール側の物流網に乗せられる仕組みがある | 越境出店者向けの物流の仕組みがあるが、出荷元や条件で使える方法が変わる |
| 特徴 | 1つの管理画面から複数の国に出品を広げやすい | 1回の商品登録で複数の国に掲載できる仕組みがある |
| 向いている進め方 | 日本の倉庫から出荷したまま、複数の国で反応を試したい | 掲載国を広げつつ、ブランドとしての見せ方も重視したい |
手数料や物流の条件は、国やカテゴリ、時期によって変わります。この表は考え方を整理するためのもので、出店前には必ず各モールの最新の条件を確認してください。
最初の1モールを選ぶ3つの基準
1. 売りたい国に強いのはどちらか
インドネシアで売りたいならLazada、台湾も含めて広げたいならShopee、というように、まず売りたい国でどちらが使えるかを確認します。同じ国でも、カテゴリによって強いモールが違うことがあります。対象国で自社の商材を検索し、競合の商品がどちらに多く出ているかを見るのが手早い方法です。
2. 日本からの物流をどこまで任せたいか
日本の倉庫から出荷して、国際輸送と現地配送をまとめて任せたい場合は、モールが用意している越境物流の仕組みを使えるかが重要です。Shopeeでは、日本国内の指定拠点に商品を送れば、その先の国際輸送・通関・現地配送をモール側の物流網で処理する仕組みがあり、出店者の作業は国内ECに近い形になります。
3. 価格帯と商材の相性
東南アジアのモールでは、手頃な価格の商品がよく動きます。高価格帯の商品は、ブランドの見せ方や、偽物ではないことの信頼づくりが重要になります。化粧品・食品などは国ごとの規制も確認が必要です。
出店前に決めておくこと
モールを選んだら、出品を始める前に次の4つを決めておくと、途中で止まりにくくなります。
- 最初に売る国と商品:いきなり全商品・全国に出さず、反応を見たい商品を数点に絞る
- 価格と利益の計算:販売価格から、手数料・国内の出荷費・国際送料・税金・広告費を引いて利益が残るか
- 商品ページの言語:英語だけでよいか、現地の言葉(タイ語、ベトナム語など)が必要か
- 出荷の担当:日本の倉庫で誰が梱包し、モールの指定拠点に送るか
特に2は重要です。東南アジアの多くの国では、低額の輸入品にも消費税にあたる税金がかかる仕組みや、関税が免除される金額の基準が国ごとに違います(参考:DHL「アジア9カ国のデミニミスを一覧比較」)。価格を決める前に、対象国の基準を確認してください。
国ごとの特徴をつかむ
ShopeeとLazadaのどちらを選ぶかと同じくらい大切なのが、どの国から始めるかです。東南アジアとひとくくりにされがちですが、言語も物価も購買の習慣も国ごとに大きく違います。
| 国 | 特徴 | 始めるときの考え方 |
|---|---|---|
| シンガポール | 所得水準が高く、英語が通じる。日本製品への信頼も厚い | 高めの価格帯の商品や、英語の商品ページで試したい場合に向く |
| マレーシア | 英語と中国語が通じる層が多く、シンガポールに次いで始めやすい | シンガポールで手応えを得たあとの2か国目の候補 |
| タイ | 日本の食品や化粧品、キャラクター商品への関心が高い | タイ語の商品ページが売れ行きを左右しやすい |
| フィリピン | 英語が通じ、若い人口が多い | 手頃な価格帯の商品が動きやすい |
| ベトナム | 成長の速い市場で、日本製への信頼が高い | ベトナム語の商品ページと、価格の設計が鍵になる |
| インドネシア | 人口が最も多く、市場の規模が大きい | Lazadaで掲載できる。規制や言語の準備に時間をかける |
| 台湾 | 日本の商品になじみがあり、繁体字中国語で売る | Shopeeで掲載できる。日本の商品ページを活かしやすい |
最初の1か国は、「商品ページを用意しやすい言語」と「自社の価格帯が受け入れられやすい国」の両方を満たすところを選ぶのが近道です。英語の商品ページから始めるならシンガポール、日本の商品への親しみを活かすなら台湾やタイ、といった考え方ができます。
出店から3か月でやること
| 時期 | やること | 見る数字 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 出店手続き、商品を数点に絞って出品、商品ページを現地向けに整える | 商品ページの閲覧数、検索で表示されているか |
| 2か月目 | モール内の広告とクーポンで露出をつくり、最初のレビューを集める | 閲覧数に対する購入率、レビューの評価 |
| 3か月目 | 売れる商品と国に絞り込み、価格・画像・説明を改善する | 1個あたりの利益、配送日数への評価、2か国目に広げるか |
東南アジアのモールでは、モールが主催する大型セールの時期に売上が大きく伸びます。セールに参加するかどうかと、そのときの割引率を、立ち上げの段階から計画に入れておくと、在庫と利益の見通しを立てやすくなります。
2つのモールを併用するときの考え方
1つのモールで手応えが出てきたら、もう1つのモールに広げることで、同じ国での露出を増やせます。このとき手間を増やさないコツは、商品データを1か所で管理し、各モール・各言語に展開することです。モールごとに別々に商品情報をつくると、価格や在庫の更新が追いつかなくなります。
在庫の扱いにも注意が必要です。2つのモールで同じ在庫を売る場合、片方で売れた分をもう片方にすぐ反映しないと、在庫がないのに注文を受けてしまいます。在庫を共有するか、モールごとに在庫を分けて持つかを、併用を始める前に決めておきましょう。
東南アジア越境ECでよくある失敗
- 最初から多くの国と商品に広げる:商品ページと在庫の管理が追いつかず、どの国でも評価が育ちません。
- 英語のページだけで全ての国に出す:英語が通じにくい国では検索で見つからず、売れにくくなります。
- 送料と税金を価格に入れていない:国際送料や、国ごとに違う税金の基準を考えずに価格を決めると、売れても利益が残りません。
- 問い合わせへの返信が遅れる:返信の速さはお店の評価に影響します。時差や言語を考えて、返信の体制を決めておきます。
- セールの準備をしていない:大型セールの時期に在庫や広告の準備が間に合わず、売れる機会を逃します。
よくある質問
ShopeeとLazadaは、同時に出店したほうがよいですか。
最初は1つに絞ることをおすすめします。2つのモールを同時に立ち上げると、商品ページ・価格・在庫の管理が倍になり、どちらも中途半端になりがちです。1つで売れる商品と価格が見えてから広げるほうが、結果的に早く伸びます。
日本の倉庫から出荷したままでも販売できますか。
できます。Shopeeでは、日本国内の指定拠点に送れば、国際輸送から現地配送までモール側の物流網に乗せられる仕組みがあります。売れ行きが伸びてきたら、現地の倉庫に在庫を置く方法も検討します。
英語の商品ページだけで売れますか。
国によります。シンガポールやフィリピンでは英語でも伝わりやすい一方、タイやベトナム、インドネシアでは現地の言葉の商品ページのほうが検索で見つかりやすく、購入にもつながりやすくなります。
最初はどの国から始めるのがよいですか。
商品ページを用意しやすい言語と、自社の価格帯が受け入れられやすい国の両方を満たすところから始めるのがおすすめです。英語の商品ページで試すならシンガポール、日本の商品への親しみを活かすなら台湾やタイが候補になります。
売れ行きが見えたら、現地に在庫を置くべきですか。
配送日数への不満が出てきたり、特定の国で安定して売れるようになったりしたら、現地の倉庫に在庫を置くことを検討します。配送が速くなる一方で、在庫を先に送るため売れ残りのリスクが生まれるので、売れ筋の商品から少しずつ移すのが安全です。
まとめ
- 最初の1モールは、売りたい国と、物流をどこまで任せたいかで選ぶ
- 日本の倉庫から出荷したまま試すなら、モールが用意する越境物流の仕組みを使えるかが重要
- 出店前に、売る国と商品、利益の計算、商品ページの言語、出荷の担当を決めておく
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